コアラと言えば、丸い耳と愛くるしい表情、そして何より一日中寝ている姿を思い浮かべる人が多いでしょう。「コアラはユーカリの葉に含まれる猛毒に酔って寝ている」という雑学を聞いたことがあるかもしれませんね。
しかし、この「ユーカリの毒のせいでコアラが酔っぱらって寝ている」という話、実はちょっと違うのです。今回は、コアラの長い睡眠時間の本当の理由と、主食であるユーカリの葉の秘密に詳しく迫ります!
コアラの睡眠時間はなぜ長い? 「ユーカリの毒」だけが原因ではない!
コアラの一日の平均睡眠時間は、なんと約18〜20時間。時には22時間にも及ぶと言われる、世界でもトップクラスの長時間睡眠動物です。
この長い睡眠時間の背景には、彼らの主食であるユーカリの葉が深く関わっています。ユーカリの葉は、他の動物から身を守るために毒性成分(タンニンや精油など)を含んでいます。人間にとっては有毒な成分も含まれており、「ユーカリの毒でコアラが酔っている」という雑学が生まれたのも無理はありません。
しかし、コアラが長時間寝ている本当の理由は、この「毒」の処理と栄養価の低さにあるのです。
1. 毒素の分解に多大なエネルギーが必要
コアラは進化の過程で、ユーカリの毒素を解毒する能力を獲得しました。体長約70cmに対して2メートルにもなる長い盲腸を持ち、そこに生息する特殊な腸内細菌の力で毒性成分を分解・無毒化しています。
この解毒と消化のプロセスには、非常に多くの時間とエネルギーが必要です。毒素を分解し、硬くて繊維の多いユーカリの葉からわずかな栄養を抽出するために、コアラは極力エネルギーを使わないよう、ほとんどの時間を眠ったり休んだりして過ごすのです。言わば「省エネモード」で、生命維持に必要なエネルギーを確保している状態なのです。
2. ユーカリの低カロリー問題
ユーカリの葉は、毒性があるだけでなく、栄養価(カロリー)が非常に低いという特徴もあります。コアラは、限られたエネルギー源から最大限の効率で生きるために、活動時間を最小限に抑え、エネルギー消費を節約しているのです。
「酔っ払っている」わけではなく、生命を維持するための究極の省エネ戦略。これがコアラが長時間眠る最大の理由です。
コアラとユーカリの驚きの共存関係
コアラは、ユーカリの葉を食べるために、他にも驚くべき適応能力を持っています。
- 選り好みする食性: ユーカリの葉は何百種類もありますが、コアラが食べるのはそのうちのわずか数十種類。においや味、葉の水分量などを嗅ぎ分け、毒性が比較的少ない葉を選んで食べていることが分かっています。
- 毒に負けない身体: 特殊な盲腸と腸内細菌に加え、体内の肝臓の酵素も毒素の分解に重要な役割を果たしています。
まとめ:誤解を解き、コアラへの理解を深める
「コアラが一日中寝ているのはユーカリの毒に酔っているから」という雑学は、面白く覚えやすい話ですが、科学的には正確ではありません。
コアラの長い睡眠時間は、毒素を分解し、低カロリーなユーカリから効率よくエネルギーを得るための、生きていく上での必須戦略なのです。
動物園でコアラを見かけた際は、ただ「寝ているな」で終わらせず、彼らの持つ驚異的なサバイバル能力に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。彼らがどれほど懸命に生きているのかが伝わってくるはずです。


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