「女子高生」――誰もが知るごく一般的な言葉、まさかこれが特定の企業の「登録商標」だったなんて、信じられますか?
実はこれ、一時インターネット上で大きな話題となったトリビアなんです。あの食品メーカー、伊藤ハムがかつて「女子高生」という言葉を商標登録していたのです。
■なぜ伊藤ハムが「女子高生」を?
初めてこの話を聞いた時、多くの人が「一体、伊藤ハムが『女子高生』で何を売りたかったのだろう?」と首を傾げたはずです。女子高生が作ったお弁当?それとも女子高生に人気のハム?
当時の報道や関係者の話によると、その目的は「健康的でヘルシー志向の食品」のネーミングに使うためだったと言われています。伊藤ハムは、女子高生が持つ「若々しさ」「健康的なイメージ」を、ダイエット食品やヘルシーフードのブランド名として活用しようと考えたわけです。
指定されていた商品区分を見ると、「べんとう、ぎょうざ、しゅうまい、ピザ、ミートパイ、菓子及びパン」や「肉製品、加工野菜及び加工果実、カレー・シチュー又はスープのもと」など、多岐にわたる食品が並んでいました。
■結局、商品化はされず
しかし、残念ながら(?)この「女子高生」という名前を冠した伊藤ハムの商品が、実際に店頭に並ぶことはありませんでした。
その理由として、主な顧客層である主婦層にとって「女子高生」というネーミングが、ターゲットとする商品のイメージに合わなかった、という判断があったようです。斬新なアイデアも、市場のニーズや顧客層とのマッチングがなければ、日の目を見ないという、マーケティングの難しさを示唆しているエピソードとも言えます。
■現在の「女子高生」商標はどうなっている?
では、現在も伊藤ハムは「女子高生」の商標権を持っているのでしょうか?
結論から言うと、現在、伊藤ハムが保有していた「女子高生」の商標権は、権利期間の満了に伴い、更新されることなく失効しています(2024年現在)。つまり、今は伊藤ハムの商標ではありません。ただし、別の企業が別の区分で新たに商標登録しているケースもあり、話は少々複雑です。
■商標権の「勘違い」にご用心!
この話題が広まった際、一部では「これでブログに『女子高生』と書いたら伊藤ハムに訴えられるのでは?」という誤解も生じました。
しかし、商標権は、特許庁で登録を受けた際に指定されている「商品」や「役務(サービス)」との関係で発生する権利です。伊藤ハムが持っていたのは、あくまで「食品」のネーミングとしての商標権。一般の会話やニュース記事、ブログなどで「女子高生」という言葉を使うことは、商標権の侵害には当たりません。商標とは、その言葉そのものを独占するのではなく、「その商品・サービスに使う名前」を独占する権利なのです。
■他にもある、意外な商標
「女子高生」以外にも、世の中には「え、これも?」と驚くような商標が存在します。
例えば、「美少女」は火の国酒造などが、「ニート」は花王が、「婚活」はトリンプ・インターナショナル・ジャパンがかつて(または現在も)登録商標として保有していました。これらは、企業が将来の事業展開を見越したり、商品のイメージ戦略として登録したりした結果です。
普段何気なく使っている言葉の裏に、実は企業の戦略やアイデアが隠されている――「女子高生」をめぐるこのトリビアは、私たちに商標という制度の奥深さと、言葉とビジネスの関係を改めて考えさせてくれる、面白い事例と言えるでしょう。


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